アーチカルバートとは、アーチ形をしたプレキャストコンクリート製品で下水道用、排水路用、地下河川用地下道及び共同溝用等に利用することができます。このアーチ形状は、建造物として非常に合理的な形状をしており、構造的に最も安定しているとされております。プレキャストアーチカルバートは、「道路土工・カルバート工指針」(社団法人日本道路協会・平成21年度版)に掲載されております。 |
特長(要点)
1. 高い強度による経済性
アーチカルバートは、上部がアーチ形、下部がボックス形をしているため、上部の荷重は軸方向圧縮力として伝達
され、部材の上部及び側壁に生じる曲げモーメントは、ボックス形に比べて大幅に低減され高い強度をもつことが
出来ます。このため、大きい土被りに対して特に有効であり、経済性が発揮されます。
2.ゴム輪による高い止水性
アーチカルバートは、継手部にゴム輪を使用することにより、高い止水性を確保することができます。
3.ゴム輪の弾力性による可撓性
アーチカルバートは、ゴム輪を使用しているため、地盤の多少の不同沈下に対しても、従来のモルタルコーキング
とちがい、ゴム輪の弾力性による可撓性が発揮され漏水の心配がありません。
4.工期の短縮による経済性
アーチカルバートは、ゴム輪を使用するため、継手部にモルタル目地を施す必要がなく施工が簡単で、工期の短縮
による経済性が発揮されます。また、円形管において必要とされるコンクリート巻立ての必要がなく施工性、経済
性が優れています。
種類
アーチカルバートには、形状と強度により、次の種類の製品があります。
これらの規格を組み合わせることにより、管路延長全体を工場製品で完成できるようになっております。
● 形状による種類
- 標準形アーチカルバート ・・・・・・・・・ A規格
- 縦方向連結形アーチカルバート ・・・ P規格
- 二分割形アーチカルバート ・・・・・・・ S規格
- 直載形アーチカルバート ・・・・・・・・・ B規格
- マンホール用アーチカルバート ・・・・ M規格
● 土被り条件による種類
アーチカルバートには、土被り条件により次の3種類があります。
- I 型 ・・・・・・・ 標準厚さで標準鉄筋のもの
- II 型 ・・・・・・ 標準厚さで鉄筋量を増加させたもの
- 特厚型 ・・・・ I 形より約3割厚さを増加させたもの
規格
●標準形アーチカルバート(A規格)
直線施工用の標準品で、継手部はインロー形でゴム輪により接合します。
サイズは内幅800~3000mmの10種があり、それぞれについて内高が I ・ II 形は、内高/内幅比0.7~1.2の6種類、特厚形は、1.0~1.2の3種類を用意しています。
●縦方向連結形アーチカルバート(P規格)
縦方向連結形アーチカルバートは、次のような場合に使用します。
- 布設地盤が軟弱で不同沈下のおそれがある場合
- 地下水位が高く、高い止水性が必要な場合
- ガス管、水道管、電気、通信ケーブル等を横断する場合
この製品には、PC鋼材定着用切欠穴の有無によってFタイプ(無)とHタイプ(有)の2種類があります。
●二分割形アーチカルバート(S規格)
二分割形アーチカルバートは、アーチカルバートの構造的利点を生かし、近年の地下構造物の大型化に対応して、製品を分割生産し現場でPC鋼材にて緊結するもので、強度については工場実験で従来の一体成形品と同等であることが実証されております。内幅は3500~5000mm、内高は3500~5400mm、土被りは3.5m用及び8.0m用を用意しております。
製品・工事の写真
日本アーチカルバート工業会
アーチカルバートに関する情報は、『日本アーチカルバート工業会』のホームページもご参照ください。
http://www.arch-culvert.org/